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2021-12-27

東京海上日動、NTTデータ、トレードワルツと新たな貿易決済の仕組みの実現に向けた実証実験を実施

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2021年12月27日
東京海上日動火災保険株式会社
株式会社NTTデータ
株式会社スタンデージ
株式会社トレードワルツ

東京海上日動火災保険株式会社(取締役社長 広瀬伸一、以下「東京海上日動」)、株式会社NTTデータ(代表取締役社長 本間洋、以下「NTTデータ」)、株式会社スタンデージ(代表取締役社長 足立彰紀、以下「スタンデージ」)および株式会社トレードワルツ(代表取締役社長 小島裕久、以下「トレードワルツ」)は、新たな貿易決済の仕組みの実現に向けた実証実験を実施いたしました。
本実証実験の結果を踏まえ、貨物の代わりとして用いる電子B/L(船荷証券)とデジタル通貨(または暗号資産)を同時に交換する、世界で初めての仕組みの実用化を目指します。2023年度中の事業化に向けて取り組み、企業間の安心・安全な貿易取引を支援してまいります。

1.背景
貨物と代金の交換を行う貿易取引においては、旧来から貨物の代わりとして用いるB/L(※1)と代金の交換が行われてきました。
一方で海外取引の場合、輸出者と輸入者は離れていることから、B/Lと代金を同時に交換することができず、いずれかの債務不履行のリスクが発生し、銀行、保険、ファクタリング等によるリスクヘッジのコストが必要になります。
近年、国内では電子B/Lを認めるよう法改正を求める動きが進んできており、海外諸外国においてもB/L等の電子化のための法整備を行う動きがあります。
また、デジタル通貨についても国際的な実用に関する議論があり、中国やカンボジアなどを中心にCBDC(中央銀行デジタル通貨)の実用化に向けた動きが活発化しています。
電子B/Lとデジタル通貨(または暗号資産)が今後国際的に普及すると、デジタルデータである双方を同時に交換できる可能性が生まれます。東京海上日動・NTTデータ・スタンデージ・トレードワルツの4社はこの「同時交換」を実現する新たな貿易決済の仕組みの構築に向けて、実証実験を実施しました。

(※1)船荷証券(Bill of Lading)のこと。運送品引渡請求権(運送人から貨物の引渡しを受ける権利)を表象すると同時に、物権的効力(貨物の所有権を示す)も併せ持つ有価証券です。

2.実証実験の概要
(1)内容:
実証実験では、ブロックチェーン技術を活用し、貿易プラットフォームで電子化された「B/L」と「デジタル通貨(または暗号資産)」の同時移転が可能であることを確認しました。

図1 電子B/Lとデジタル通貨(または暗号資産)の同時交換の流れ

B/Lや保険証券、Invoice等を電子化する貿易プラットフォーム(TradeWaltz®(※2))と複数のブロックチェーンを連携するインターオペラビリティ技術(※3)をNTTデータが提供し、暗号資産の移転技術をスタンデージが提供しました。
また、本実証実験の検証には、松尾産業株式会社(https://www.matsuo-sangyo.co.jp/)、株式会社ウィル・ビー(https://willbecorp.com/)をはじめ、複数企業にご参加・ご協力いただき、実用化に向けて具体的なご助言をいただいたことで、事業化への確証を得ることができました。
電子B/Lの移転とデジタル通貨での支払いの同時実行が確認できたことにより、従来になかった貿易決済の仕組みを提供することが可能となります。

(※2)20年10月27日 ニュースリリース 貿易プラットフォーム「TradeWaltz®」の運営会社に業界横断7社で出資
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/201027_01.pdf
(※3)異なるブロックチェーン間で相互に情報交換ができる仕組み。

(2)実証期間:約4か月間(2021年8月~2021年12月)

3.期待される効果
実証実験の結果を踏まえ、本取り組みに以下のような効果を期待します。

(1)国際売買のリスクの除去
貿易代金を前払いする場合には、買い手が貨物を受け取れないリスクがあり、一方で後払いであれば、売り手が代金を受け取れないリスクがありました。電子B/Lとデジタル通貨(または暗号資産)であれば、同時交換が可能となり、これらのリスクがなくなります。

(2)輸出入者の貿易コスト低減
貿易代金に関するリスクを回避するには、第三者(銀行、ファクタリング会社、保険会社など)がリスクを引き取り、その対価としてのリスクプレミアムを収受しますが、同時交換が可能になれば、リスクプレミアムは不要となることが想定されます。

(3)中小企業の貿易取引の活発化
中小企業には、技術力や特色があるにも関わらず、代金前払いに応じてもらえないために、海外の新規顧客開拓が進まないという課題があります。こうした問題を解決し、中小企業へも貿易取引の裾野を広げることができます。

(4)貿易の平易化
債権債務の同時履行によって貨物の所有移転が明確になることで、債権債務履行の時間差ゆえに生じていた、国際売買契約や法律上の問題を解消します。

本実証実験の実施結果を踏まえ、2023年度中の事業化に向けて引き続き4社で取り組んでまいります。

【本ニュースリリースに関するお問い合わせ先】
〒105-0014 東京都港区芝3-6-10 芝NAビル4階
株式会社STANDAGE(スタンデージ)
代表取締役社長/CEO:足立彰紀(あだちあきのり)
取締役副社長/COO:大森健太(おおもりけんた)
問い合わせE-mail:info@standage.org

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